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銀星亭 ~Villa Argentée D'Étoile~



020:楽 酒神のおはしますればこの森の楽の音もまた酒のかおりよ

020:楽 酒神のおはしますればこの森の楽の音もまた酒のかおりよ

 古くから日本には屋敷森というものがあります。
 田舎の旧家を取り囲んで鬱蒼と茂る木立はその木の下闇の中に家の歴史を秘めています。
 
 明治の元勲のヒゲのようにいかめしい様相の杉やヒノキがそびえ立つといった、
 見ているこっちが恐れ入ってしまうような立派な屋敷森のある家というのも最近ではなかなかお目に
 かかれなくなりましたが(手入れが大変なのも事実です)、
 たとえばけっこうな都会の中の神社にも、それを守るかのように、森が残されています。
 森は神の住まう聖なる場所でもあるのです。

 ヨーロッパにおいて、森は魔女や妖精の住まう不思議な空間でありました。
 しかし産業革命以降、森は木材の供給源と成り下がり、妖精や魔女が目撃される事もなくなりました。
 やがて昼だに暗かった黒い森(シュヴァルツシルト)は切り開かれ、
 美しかったドイツの青い空には工場の煙が吐き上げられるようになります。

 近代人たちは科学の力で魔法の森を征服していったのです。
 近代とはすなわち、妖精のいない森を視るという態度に立脚した時代ではなかったでしょうか。

 さてさて。
 私の住むまち、そしてあなたの住むまちに、
 不思議なものがそっと生きていけるような森があったらうれしいですね。


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光さす春木立

by saene | 2006-02-11 21:54 | 歌詠み・物書き
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歌詠み物書き宵月冴音(よいづきさえね)のブログ。

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さえねメモ。
《生まれも育ちも》
1984年静岡県富士宮市生。
私立星陵高校英数科から熊本大学文学部文学科に進学。
日本語日本文学分野。
2006年3月大学卒業。
2006年4月~私立高校国語科常勤講師。三重県在住。

《専門と専攻》
専門:日本古典文学(平安朝和歌文学)
専攻:「古今和歌集」とその表現

《資格》
中学校教員一種(国語)
高等学校教員一種(国語)
漢字検定二級
普通自動車運転免許(AT、眼鏡等)

《使用言語》
英・仏・独・羅・西(カタラン語)
ちょぴっと。

《所属団体》
熊本大学国語国文学会
日本・カタルーニャ友好親善協会
日本野鳥の会
熊本大学合唱団(Ten1,2)

《著作》
「カソケク」
「組曲『勿忘草』―ドクトル伊東と狂人―」
「我が愛しのSHFTHOP」
「マイ・ピュア・レディ2015」
「異国の月」
「放課後のざしきわらし」
「一の谷軍扇の落月」
「月の光のあまねくは」


《好物》
チョコレート
ケーキ
ワイン
そば
コーヒー

《苦手》
多足類
激辛系食品
まずいうどん(カップうどんはOK)

《リンク》

コウシキモドキ


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